2012/7/30 彼女の瞳がうるむとき

2日前のことだけどウエイトリフティングの三宅宏実(26)が銀メダルを獲得した。
僕らの世代では重量挙げと言えばミヤケ、三宅義信であり、三宅兄弟である。
彼らは円谷幸吉やレスリングの選手らとともに自衛隊体育学校出身のスターだった。
三宅がバーベルを挙げるシルエットは五輪のアイコンでもあった。
兄の義信は、当時フェザー級と呼ばれていた階級で東京、メキシコ五輪で2大会連続で金メダルを獲った。
東京五輪では世界新記録、三宅は子供たちにとってもスターだった。
小学生だった僕らはジャークとかスナッチとか前後開脚型とかいう用語を覚えて真似をして教室で遊んだ。


     


三宅宏実のお父さんである義行はメキシコの銅メダリスト。
今回の中継でもずっと彼女のそばにいた。
26歳の娘の父としては随分とおじいちゃんだなと思いながら見ていた。
御年66歳、宏実は40歳のときに生まれた娘だ。
僕自身、子どもはいないけれど結婚したのが40過ぎだった。
もし娘がいたらこんな感じだったのかな、と歳の離れた父娘の図には親近感が沸く。
12年も二人で追い続けてきた夢が叶いお父さんは幸せだろうな。
宏実がウエイトリフティングをやろうと思ったのはシドニー五輪を見て以来だという。
シドニーも遠くなりにけり、だ。
あの大会、五輪特番で総集編に女子の重量挙げのシーンを入れた記憶がある。
意外に美人が多く新鮮だった。


北京五輪のときにNHKラジオで重量挙げの実況を聞いた。


   「三宅、クリーンアンドジャーク105キロに挑みます。
    さあ、バーベルに手をかける、挙げた、胸でバーベルを支える。
    ここからだ、力が入る、目が潤んできた、両手を挙げる、
    ふらつく ふらつくが、何とか、何とか持ちこたえる三宅、白三つ、成功です。」


「目が潤んできた」というのがセクシーで良かった。
今回も三宅の目に注目して見た。
確かに挙げる直前、瞳に涙がたまってうるうるとなる。
これがいい。
うるうる萌えです。


      



昨日の夜は八木かなえ登場。
ちょっと驚いたのは多くの人は八木かなえを見るのは初めてだったらしい。
こんなカワイイ子がいたのか、という驚きのツイートが連発されていた。
スポーツファンにとって常識でも日常的にスポーツニュースを見ない人にとっては新鮮なのですね。
ふーん、そんなものか、と改めてオリンピックの力を知る。
確かに彼女の笑顔を見ていると幸せな気持ちになる。


そういえば局のフロアには兵庫県警のポスターが貼られたままだ。
笑顔もいいけどキリっとしたまなざしも悪くない。    
         



…今月最後のニュースデスク。
関西発のスポーツは特になし。
五輪選手の地元での応援風景や所属会社の記者会見、今後はメダリストの帰国をケアするくらいか。


A部老師に誘われ天満吞み敢行す。
一軒目は「肴や」でサッポロラガー中瓶、烏賊とキャベツのペンネ、カツサンドハーフ。
二軒目は新規開拓、笛の先生 金子鉄心さん推奨の店「糀や(こうじや)」へ行く。
にごり酒、黒糖焼酎、ウイスキーと順番に吞む。
料理も酒も良し。
ずっと立ちっぱなしでした。

    
     



帰宅後も五輪中継漬け。
今日は寝よう寝よう寝ようと思いながら時間が過ぎ気がつけば3時過ぎ。
柔道女子57キロ級で松本薫が金メダル。
え、反則勝ちだって?
一発レッドカード!
こんなのあるんだ。
アメリカでは絶対人気のでないスポーツだと思う。
松本さん、獣のような殺気、鬼の形相が涙のち笑顔に変わった。
強く硬く閉じられた気持ちが解けていく。
彼女のことはよく知らないが見ている方も良かったねと思う。
ほっとする瞬間だった。


体操男子団体も見てしまう。
予選からどこか心技一体とならないチームニッポン。
跳馬で山室のアクシデントがあり、平行棒と鉄棒で1位の中国に追いすがるも、得点源のゆかで田中兄が失敗。
田中兄弟には好不調の波があり過ぎてチーム戦では使えない。世界体操の時からずっと気になっていたことが露呈してしまう。
19歳の加藤の方がずっと戦力になる。
それでも、田中兄弟も含め日本選手の体操は断トツに美しい。
空中姿勢をスロー再生で見ると明らかだ。
このあたりをもっとEスコアに反映させてもらえないものかと願う。
エース内村は6種目すべてにエントリーしたが最後にそのツケが出てしまった。
一番ナーバスで体力を使うあん馬が最終種目だったのも不運だった。
最終演技者の内村はポディウムに上がってからかなり待たされた。
最終種目では順位が決定するため国際信号(映像)の都合でどこかの種目で選手にウエイティングがかかる。
この時だけテレビ中継の進行フロアがストップサインを競技委員に出していいと認められているのだ。
東京の世界体操でも待たされた選手からあとでクレームが入った。
5分近く待たされて地元イギリスの最終演技者のスコアが出た瞬間に内村にゴーサイン、グリーンランプがついた。
会場はイギリスチームへの賞賛で尋常でない歓声が渦巻く。
集中しにくい場面だったが内村は動じない。
しかし!
フィニッシュで大きく乱れた。
落下がなかっただけ精神力で頑張ったと思う。
あん馬を最後に残すチームは必ず一人か二人は落下するからだ。
最終技が乱れた内村、得点が伸びず4位、メダルを逃す。
が、真偽の結果、スコアが訂正されて2位となる。
内村は「どっちでもいいです」という顔でスコアを待っていた。
審判席には加藤澤男さんの姿があった。
ぬか喜びさせたウクライナさん、ごめんなさい。
日本の課題は第二のエースを育成し内村の負担を軽くすること。


その後、競泳でメダルラッシュ。
寺川、入江、鈴木がそれぞれ銅メダルをとる。
柔道にしても、競泳にしても選手の目が強い。
4年をこの大会に賭けてきたオーラが目の力で出ているのだ。
北京五輪の時の観戦記にこう書いた。


  やはり、僕にとって長嶋“泳いで帰れ”ジャパンであろうが星野ジャパンであろうが、
  オリンピックという名のもとにプロ野球選手はしっくりこない。
  もの凄いプレッシャーとだと言うが、どこか作られたもののように思う。
  負けても自分らのチームに帰り高い年俸が保証されている。
  4年という歳月をこの勝負にかけてきたわけでもない。
  柔道や競泳やソフトに比べてチームとしても個人としても切実さと戦う理由が希薄だ。


オリンピックにしてもWBCにしても柔道や競泳の選手と同じ目をプロ野球選手に見ることはない。
彼らには彼らがすべてを賭けて戦う本気の舞台がある。
無理やりチームジャパンを作って感動を売られても素直に買えない。
ゆえに現段階では選手会のWBC不参加支持。
ナショナルチームにこそ価値があると思っている人が世の中には多いのだ。
国を背負って戦いますと口癖のようにいう人に強い違和感を感じる。
国のために4年間も辛い練習や孤独に耐えてきたわけじゃない。
この手の感想を書くとけっこう叩かれる。
叩かないようにお願いします。


もう寝ます。
日記の積み残しが増えていく。