2014/10/26 フィニッシュ地点で思ったこと

4年目の大阪マラソン本番。
なにわの秋空は高く青く晴れ渡る。
いや、秋というより初夏。
ちょいと暑い。
早朝からスタート地点の大阪城公園でバタバタする。
9時半過ぎから本番、あっという間に終わる。
放送終了後、フィニッシュ地点のインテックス大阪へ地下鉄で行く。
取材したランナーを出迎える。


  


…4年目の大阪マラソン中継の仕事が終わる。
この4年間ずっと市民ランナーのショートムービーを作っている。
今年で16本を数える。
会議でランナーを人選した後、メールして個別に電話取材する。
その時点でもういちどドラフト選択会議。
ときにはシナハンやロケハンで取材対象に事前に会って話をする。
ランナーの方も同じだろうけどドキドキする瞬間だ。
日程を決めて自分で撮影する。
基本一人だが去年撮影中に事故ったので出来るだけ二人体勢にする。
ことしは3分ものが1本、1分のショートを3本担当した。
僕が担当したのは全員女性ランナーだった。


滋賀のFさんは53歳、4人の孫のいるおばあちゃん。
10年前に大腸がんで生死をさまよった。
大腸の半分と胆嚢を切除して、その後も再発し入退院を繰り返した。
リハビリで始めたウォーキングがランニングになった。
体力が回復し手術から2年半後にはホノルルマラソンを完走する。
ざくっと書くと簡単だけど現実はそんなものではないだろう。
九死に一生というけど一瞬では終わらない。
数年に渡って不安と恐怖と闘うのだ。
死なずに助かったとき人間は強くなるという。
Fさんはいつかサブフォー達成、
(現在PBが4時間10分台)
いつか100キロのウルトラマラソン完走、
いつか孫とフルマラソン完走と夢はてんこ盛りだ。
学会で研究対象になったほどの奇跡の回復だった。
執刀した主治医もFさんに触発されてランニングを始めたという。


東大阪のNさんは42歳、21年前にランナーズの表紙写真になった。
それ以来、20代の体型を維持すると決めて走り続けてきた。
1990年代は趣味で走る若い女性なんてほとんどいなかった。
今回は暑さに苦しんだが5時間以内で完走。
テレビ出演は表紙のとき以来の自慢できる過去(?)になりそうだと言う。
ショートムービーのBGMにスティービー・ワンダーを使った。
“Once in My Life”
OnceならぬTwiceになった。
奈良県警交通巡視員、今は転職して保育士として働く。
リタイアしたお父さんと聾唖者のお父さんの弟さん(叔父)と同居。
3人とも健康で自立しているので居心地が良く結婚に踏み切れない。
仕事に悩みはあるらしいが走っていれば吹き飛ぶ。
大腸がんのFさんの話を録画で見てまた勇気づけられたという。


同じく東大阪のAさんは38歳、かわいい三姉妹のママで看護師。
娘は10歳、8歳、2歳。
上の二人とは毎週日曜の朝いっしょにランニングする。
一周1.8キロの周回コースをお姉ちゃんは3周、妹は2周。
ママは体育会系気質で厳しい。
けっして甘やかさない。
ちんたら走っていると「もう一周!」とカツをいれる。
普段は夫と小学生二人を送り出し、末っ子を保育所へ預けて出勤、
仕事場は総合病院のER、救急救命センターで毎日が修羅場だ。
女の子でも最後まで全力を尽くせる人になって欲しい。
そんな思いでいっしょに走っている。
Aさんは初のフルマラソンだった。
フィニッシュ直後、伴走ランナーと抱き合った。
4時間半で見事に完走、途中から涙が止まらなくなったという。
開口一番、「お産よりしんどかったあ!」
歩きたかったけどテレビで紹介されたので最後まで頑張ったとのこと。
要らぬプレッシャーをかけてしまった。
泣いたあとはさっぱり晴れやかな顔をしてた。
きっと来年も走るな。


    



大阪マラソンのこの市民ランナーの取材は年イチの楽しみだ。
普通の人の人生を味わい深いと思えるのはきっと歳を重ねたせいに違いない。
僕らテレビ屋はたいてい新聞を一次情報として取材先を決める。
新聞の切り抜きやネット記事のプリントアウトを手に電話をかける。
炭鉱にもぐってネタを掘り起こすのは他のメディアにまかせている。
この取材は違う。
自ら炭鉱に入るのだ。
手間はかかるけど自分で掘り起こした石炭は愛おしい。




…今年は日本シリーズが重なり打ち上げというわけにはいかない。
僕はお年寄りなので夜の仕事からは解放された。
で、自宅で風呂&鍋で労ってもらう。
鴨とセリの鍋をリクエストしておいた。
蕎麦だしのような汁に具は鴨肉とセリだけ。
他には何も入れてはならぬ。

   


数年前にラジオ番組で誰かがこの鍋の旨さを熱弁してた。
以来、一冬に3度くらい食べる。
みんなは大阪マラソン日本シリーズの二本立てだが、
  
  


  


この鍋は毎度お馴染みのラーメンとご飯の二段締めだ。
たまらんね。
鍋の楽しみの半分くらいはシメにある。