西宮も急に涼しくなりました。
数日前まで毎日見かけた県外ナンバーの応援バスも姿を消し淋しくなりました。
嫁はバスを見るたびに「かわいそうに、あの高校負けちゃうよ」と言います。
自分が見た学校は必ず負ける。
悪い兆候のようにそう思いこんでいます。
負けない高校はたった一つなのにね。
この夏の甲子園を積極的に楽しみました。
自宅から2マイル、自転車で10分ちょっと。
スタンドへ足を運ぶこと8回。
開会式(左翼席)、聖光学院-日南学園(一塁内野席)、静岡-習志野(右翼席)、
古川工業-唐津商業(アルプス席)、日本文理-日大三高(一塁内野席)、
金沢-習志野(左翼席)、智弁学園-横浜(右翼席)、
そして、決勝の光星学院-日大三高(右翼席)
身内が出場しているわけでもないのに全出場校の入ったタオルまで買ってしまった。
毎日、巻き起こった奇跡、その興奮、歓喜、落胆はその都度この日記に書きました。
現場で試合を見て感動するにはちょっとしたテクニックがあるのだということも知りました。
遠いライトスタンドから感情移入するには背番号9の選手に思いを重ねること。
アウトをとるたびに、ランナーが出るたびに、彼の気持ちが動くのがわかるようになる。
1アウト、ランナー3塁、バックホームに備える彼の鼓動に僕の心臓が感応する。
フライが来るか、1-2塁間を抜けてくるか、 呼吸が荒くなる。
さあ、来い!
僕は気合いを入れる。
表現は悪いけど、僕らファンは感動にただ乗りしてるのです。
決して、もう、自分が当事者になることのない哀しさを宿し、
砂まみれの少年たちに感情を共鳴させているに過ぎない。
「甲子園」というフォークソングがあります。
おそらく20年以上前のアルバムに入っていた曲。
喫茶店のテレビでは夏の甲子園
準決勝の熱気が店のクーラーと戦ってる
君は、男はみな野球好きね、と笑い
大観衆の声援聞くだけで私は暑さがつのるわ
負けた人は今これを観ているのかしら
それともまた来年を夢みているかしらとソーダ水
多分君は知らない
「この次」なんて言葉に
期待しない男は案外多いって事をね
「ホームラン!」と突然テレビが叫ぶ
また誰かの夢がこわれる音がする
僕はふと君との来年を思う
故郷ゆきのチケット
二枚握りしめたままで
青春のドラマですね、と解説者
文字だけのニュース速報が海辺の事故を伝えている
君は、女はいつも男が演じるドラマを
手に汗握り、見つめるだけなんて割に合わないわ、と溜息
3000幾つの参加チームの中で
たったの一度も負けないチームはひとつだけ
でも多分君は知ってる
敗れて消えたチームも
負けた回数はたったの一度だけだって事をね
「あと一人!」と突然テレビが叫ぶ
君は僕を見つめ涙をこぼしてる
背番号14の白いユニフォームが
彼の青春の最初で
最后の打席に入ったところ
(さだまさし「甲子園」)
また誰かの夢がこわれる音がする
八幡商業の遠藤選手のバットが残した快音と歓声と悲鳴がよみがえります。
背番号14の白いユニフォームが彼の青春の最初で最后の打席に入ったところ
決勝の9回ツーアウト、光星学院の代打 荒屋敷選手の12番が目に浮かびます。
ことし一度も負けなかったのは日大三高でした。
畦上主将が、高山選手が、鈴木捕手が甲子園に描いたアーチを目の当たりにしました。
強打の10点打線、彼らはどこよりもちゃんと野球をしたチームでした。
僕も、ちゃんと、自分の人生をやりましょう。
明日から、ぷよねこは通常営業です。