アルジェリアの犠牲者が羽田空港に帰国、と朝のラジオが告げる。
ニュース原稿は、無言の帰国、なんて表現はしなかった。
起きて六甲を見ると、冬の青空に、無言で、少し誇らしげに在った。
氏名が公表された。
年齢を見てちょっと驚く。
66、59、57,29,59,44,64,60,72…。
海外派遣されるエンジニアというのは十分に経験を積んだベテランなのだろう。
20代が少ないのは分かる気がするが経験と体力があり無理がききそうな30代がいない。
家族構成とか、請負構造とか、諸々の事情があるのだろうけど…。
勝手に抱いていたイメージとはずれていた。
実名報道についていろいろと問題になっていたけどこうして知ると妙に親近感が沸く。
日揮社長の会見、同社のアルジェリア進出は50年になるという。
1960年代からか…。
実名、年齢、その他の様々な情報が入ると見方はガラリと変わる。
日本人だけじゃなくて同じプロジェクトにはアジア系の外国人も働き犠牲になった。
彼らの人生も僕の想像の内側に入ってくる。
もちろん、だからといって何が出来るというわけではないが情報のない状況でイメージすることとは明らかに違う。
アルジェリアの日揮プロジェクトのことを知り、オリンピックの国際映像中継のチームを思い出した。
たとえばアテネの体操競技、発注元は国際オリンピック委員会の放送セクション、受注(元請け)はNHK、
その請負会社に日本の制作プロダクション、その孫請け、フリーランス。
日本人スタッフを中心にアメリカ人、オーストラリア人、カナダ人らが100人規模で組織される。
そのプロジェクトは日揮と同じくハード部門はなくソフト(人材)のみ。
中継機材はパナソニックの提供、中継車はオランダやベルギーなどの合同チーム。
オリンピックの場合はわずか一ヶ月ほどの短いタームだがイメージは出来る。
2004年、アテネは9.11 のあとの最初の五輪だったし、ギリシャは中東に近い。
行く前は僕らも不安だった。
結局、平穏無事に終わったが自分自身が身体を壊し入院してしまった。
…冬型だそうだ。
今年一番の寒波だそうだ。
太平洋側は快晴、そして強風。
明日、奈良の高見山か三峰山の霧氷を見に行くか?とヒロと悩む。
聞くところによると登山口まで行ける土日限定の霧氷バスは満員だそう。
5台も6台も連なって行くそうで、当然山もラッシュ状態。
本当にそうなのだろうか。
平日稼働の我が登山隊は土日の混雑した山は苦手だ。
スタッドレスの車を借りるなら平日がいい。
悩んだ末、やめる。
じゃあ、今日は須磨アルプスにでも行く?
西に向いて尾根歩きすれば明石海峡に沈む冬の落日が見られるよ。
風が強い。
寒い。
怖じ気づいた。
これも却下。
午後5時、自宅から見えたのは黄金色の落日だった。
きれいだったろうなあ。
これは後悔。
午後から今年の目標の一つ『生活減量プロジェクト』を進める。
衣類仕分けの2日目、二つほど不要の衣類が山が出来る。
買っても2度くらいしか袖を通さなかったシャツもある。
申し訳ない。
結局、縁がなかったのかな。
段ボールに入れて救世軍のバザーに送ることにする。
ものを処分するとすっきりするが罪悪感はぬぐえない。
…夕方から六甲おろしの風に押されニシキタへ映画を見に行く。(帰りは逆風)
予告編を何度も見てヒロも行きたがっていた。
ブッカー賞受賞の原作、監督はアン・リー。
『ライフ・オブ・パイ 〜トラと漂流した227日〜』@TOHOシネマ西宮OS
夫婦50割引、「レミゼ」「テッド」と同じく大きなスクリーン11、今月3度目。
公開初日、3作の中では一番空いていた。
字幕版の3D メガネをかけて見た。
リチャード・パーカー
映画を見終わってもこの名前が耳に残る。
パイという名の心優しきインド人青年はリチャード・パーカーと227日もの間、南太平洋を漂流する。
でも、幸か不幸か、リチャード・パーカーは人間ではなかった。
あらすじをコピペしておく。
1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。
家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。
ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。
残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。
漂流するまでが冗長だ。
パイの名前の由来とか、彼女との出会いとか、風変わりな叔父さんの話とか、新潮クレストブック的な前置きが思った以上に長く退屈してしまう。
亡くなった彼の家族には悪いがとっとと難破しろと思ってしまう。
ノアの方舟ならぬパイの箱船、救命ボートに乗ってきたのはシマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラ、そして人間。
なんだか安っぽい心理テストみたいな設定だ。
あなたは銃を持っています。
ただし、弾は3つしかありません。
さて、生きるためにどうしますか? みたいな。
映画では銃もないし、うまく事は運ばない。
たいていの人が最初に撃つと答えるであろうトラが生き残る、
これに勝てるのはたぶん武井壮くらいだろう。
映画の宣伝キャラにモデルの栗原類を起用しているようだが違うだろって言いたい。
『ライフ・オブ・ソウ』がいい。
難破してからの展開は見ているだけで楽しい。
動物たち、これどこまでがCGなんだろ?
いや、実写はほとんど無いのかな。
リチャード・パーカーなんて本物の虎にしか見えない。
データでキャラクターのモデルを作り上げ、実際の虎の動きをキャプチャーして、アニメーションのように動画を作る。
それを実写と違和感のないように合成するのだろう。
アン・リー監督は台湾出身、撮影は巨大なプールを台北に作って撮影されたという。
映画を見ている限り、動物は全部本物に見える。
先日見た「エイリアン2」(1986年)も今の技術で撮れば凄い映像が出来ると思う。
ぜひキャメロンにリメイクして欲しい。
リチャード・パーカーとの別れはじんと来る。
安っぽくなくて多分にブンガク的だった。
動物やクリーチャーに人間と同じ名前をつけると感じ方が変わる。
エイリアンのマザーに吉田 沙保里ってつけたら…。
パイが生のシイラや(たぶん)キハダマグロを食べるシーンがある。
せめて醤油があれば、と思うのは日本人だけ?
パイは、ああ、カレー食べてえ、と思うのか。
2Dで見ても良かったんだけどスクリーンが極端に小さくなるので大画面の3Dに挑戦した。
難破して海に漂う場面、夜光虫の海、ミアキャットの島、トビウオの群れ、などここぞというシーンでは、凄!って思う。
でも、何でもないシーンでは例の板に書いた画みたいなぺっちゃんこの3D、こいつはいただけない。
字幕も浮き上がって見える。
慣れるまで30分くらい違和感があった。
…見終わって20時過ぎ、外はさらに冷え込んでいた。
「丸亀製麺」で夕食、夜に30分ほど筋トレをする。
肩胛骨周辺のストレッチと負荷トレをすると代謝がかなり上がるらしい。
それは去年の夏に実証済み。
今日は肩と背中を中心に攻める。
正月から始めた股割りストレッチ、一ヶ月近くなって効果が出てきた。