どうも朝の時間の使い方がよくない。
夜更かしが最大の原因で、寝坊すると一日が短くてあっというまに終了してしまう。
加速度的に落ちていく砂時計を止めることは出来ないぞ。
昼イチでプロ野球のキャンプインに向け大人数で打合せ。
思えばプロ野球のキャンプなんて2011年に行ったっきりどこにもから行ってない。
行く用事がなければいけないのだけど。
帰宅して、ひょんなことから去年放送されたNNNドキュメントを見る。
「反骨のドキュメンタリスト 大島渚 “忘れられた皇軍” という衝撃 」
52年前だから半世紀以上前、大島渚が30歳のときに撮ったドキュメンタリーがある。
それが「忘れられた皇軍兵士」、その番組をノーカットで放送し、そのメッセージを今の日本人に問いかけるという企画。
オリジナルは東京五輪の前年1963年放送だったという。
たまたま数日前に見た「あるマラソンランナーの記録」(君原健二を描いた記録映画)も同じ1963年の作品だった。
http://www.dailymotion.com/video/x19l5xk_反骨のドキュメンタリスト-大島渚-忘れられた皇軍-という衝撃_news
日本軍の兵士として戦争を戦ったり軍属として戦地で労働し、その末に敵の攻撃によって、手足を失い、両眼を失明した韓国人たちの活動を追うドキュメンタリーだ。
彼らは「元日本軍在日韓国人傷痍軍人会」を名乗って、日本政府に補償を求める。
日本の兵士として戦って負傷したのに、日本人の元兵士には与えられる軍人恩給を与えられない。
このため、彼らは路上や電車の中で「物乞い」を小銭を集めて生きている。
主人公は両目を失明し、顔をえぐられ、片手を失った男。
東京の空襲で両目を失明した日本人女性と結婚、バラックで暮らし、子どもが二人いる。
妻の妹に生活の面倒をみてもらい生きている。
唯一の楽しみはラジオでプロ野球の実況放送を聞くこと。
国鉄スワローズの金田のファンだ。
小松方正のナレーションがそう伝える。
そして、“この人たちは何も与えられていない。わたしたちは何も与えていない。” と強く迫ってくる。
怒りのメッセージが新鮮で強烈だった。
取材対象も、映像も、カメラマンも、監督も、音楽も、ナレーションもとにかく怒っている。
音楽はアート・ブレイキーのドラムだ。
理不尽なことにはちゃんと怒れといま番組を見ている僕らも怒られている。
そして、今のテレビに失われたものが詰まっていた。
「視聴者に媚びない」「視聴者をバカにしない」「同じ目線で考える」
小松方正のナレーションも心をゆさぶる。
“日本人よ、わたしたちよ、これでいいのだろうか!”
大島渚の思いを語る是枝監督のインタビューが秀逸だった。
見ながらコメントを書き留めたら他のブログでも書き留めている人が複数いた。
やっぱりそうなのだ。
これが放送されたことはちょっとした衝撃だったのだ。
そして、そういう国になってしまったのだ。
わたしたちはこれでいいのだろうか?
あのナレーションが胸に突きささる。
是枝 大島さんが、生涯批判し続けたのは「被害者意識」ってものだったね、多分。
「あの戦争は嫌だったね」っていう、「辛かったね」っていうさ、自分たちが何に荷担したのかっていうことに目をつぶって、
被害意識だけを語るようになった日本人に対して、「君たちは加害者なのだ」ということを、あの番組で突きつけてるわけですよね。
その強さに見入った人間たちは打ち震えたわけじゃないですか。
是枝 社会全体の中で、多様性っていうのが失われてきていて、どんどん、特に今の政府になってから、ナショナリズムに、
「保守」ではない、もうナショナリズムに改宗させられてきている、人々の心情が。
それがある種の「救い」になってしまっているっていう気がしていて、それは非常に危険だなと思うんですね。
やはり、多様性。だから、8割の人間を支持するのであれば、2割の側で何が出来るかっていうことを、やはりきちんと考えていくべきだなと僕は思ってるので。
そこは、どの位作り手がそれを意識できるかが勝負だなと思ってますけどね。
支持されてなくても、視聴率が低くても作る。
是枝 そんなことグダグダ言ってないでとにかく作れ」って言われますよ。
「作ってから考えろ」って。とにかく作ると、カメラを回す。
そっから何が出てくるかってことを必死で考えるってことじゃないですかね。
NHKが安倍官邸に圧力で腰砕けになってる今、日テレドキュメンタリー班の覚悟に拍手。
大島作品のメッセージを考えるという前後のVTRも秀逸でした。
永田亮子というアニメ声優のナレーションが明瞭で清々しくて、小松方正に負けてなかった。
夕食は家めし。
きのう西宮神社の陶器市で買った平皿を使う。
ボロネーゼとオイルサーディンの和風しょうゆ味のスパゲッティ。
ただいま断酒中、寝る前にプールへ行く。
ちょっと身体を動かしてやすらかに眠る。
最高の贅沢。
これはこれでいいのだ!