ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

10/9/12 村木さんの手記を読む

数日前にカラっとして季節のページがめくられた、なんて書いた。
でも、ここ数日はまたまた湿気が多くて蒸し暑いぞ。
今日、ヒロは同窓生とランチの予定で早めに家を出る。
10時過ぎからいつもの15キロコースon Giant です。


いつもの道。


日曜の芦屋浜は釣り天国。



久々に『大竹まことのゴールデンラジオ』(略して大竹ラジオと僕は呼ぶ)を聴く。
もちろんPodcastで、数日前のオープニングトーク。
無罪判決が出た厚労省村木厚子さん(54歳)の話題。
大竹まことがトークの最後にこう言って締める。


 『村木さんは164日間 拘置所で取り調べを受けていました。
  およそ半年に渡る拘置期間中、面会に来てくれた人70人、届いた手紙500通。
  麦飯ダイエットの効果で体重6キロマイナス。
  ストレッチと室内体操のおかげで腕の筋力アップ。
  歩き回れなかったので足の筋力ダウン。
  差し入れてもらったものを中心に読んだ本、ジャスト150冊。
  検察との戦いはまだまだ続きます。
  さあ、みなさんはどう思われますか? 』


凛とした女性の姿が目に浮かぶ。
村木さんは同世代、そして高知大学出身、同じ地方国立大出身者として親近感がある。
日本育英会奨学金を受けて卒業しているのも同じ。
(もちろん国家公務員上級試験に合格するほど優秀な人なので僕とは違いますが)
無実の罪で半年も自由を奪われ、1500万の保釈金を支払わねばならなかった無念を思う。
自転車で走りながら涙が出そうになる。


今日は白く波頭が立っている。
沖に白い帆の競技用のヨットが数十隻一列に並んでいる。
レースがスタートするのだろう。




…デスクでもないが局へ顔を出す。
MacBookで編集中のプロジェクト&イベントを携帯出来るHDにコピーする。
これで自宅へ持ち帰り手直しや仕上げ作業をすることが出来る。


阪神のルーキー秋山が19歳でプロ初完封!
高卒ルーキーの完封は江夏、遠山以来、チームで3人目なのだとか。
しかも、自らタイムリーを打ち、無四球のおまけつき。
つい1年前まで高校球児として同じマウンドに立っていた。
面構えはプロ向き。
エースで4番、愛媛じゃブイブイいわしてたんだろうな。



…『文藝春秋』最新号に村木厚子さんの手記が載っている。
帰宅途中、ニシキタにある「HIRO COFFEE 西宮北口店」へ行く。
広々としたカウンターで村木さんの手記を読む。


珈琲一杯分、20分ほどで読み終える。
誤解を恐れずに言えば、面白い!
新聞やテレビのニュースとは全く違う肌触り(?)
ねつ造とも言える検察の調書やあの手この手の取り調べに耐えながらも、
この女性キャリアはごく真っ当な人で、家庭人で、懐が深く、ユーモアもある。
この事件に少しでも興味のある人は読むべきだと思う。
やりきれないし、恐ろしいけど、元気が沸いてくる。


ある日、突然に、大阪地検特捜部の呼び出しがあり、
遅れてはいけないと大阪に前泊し出頭したらその場で逮捕された。
まったく身に覚えのない疑い。
次々と指摘される関係者も会ったことがない。
手錠に腰縄で拘置所へ移送された。
163日の拘留、執拗な取り調べ、家族、職場、友人とも突然切り離された。
これがどういうことなのか。
逮捕された時、自宅には高校生の娘さんがいた。
彼女に自分が逮捕されたことをどう知らせたらいいのか…。
僕と同年代の一人の女性に起こった悪夢。


嘘の実績を作るための罠。
検事の作文による、人格が違う調書。
説明するたびに行われる辻褄合わせ。
それだけではない。
この手記を読むとマスメディアの罪はかなり大きい。
逮捕されたイコール悪人という刷り込み。
生活が脅かされるのは先ずメディアの暴力からだ。


保釈金1500万は貯金をはたいて支払った。
弁護士費用も高額。
精神的なものだけでなく経済的な負担も彼女の人生を圧迫する。


娘のためにも絶対に屈しない、と決めた村木さんは拘置所で学ぼうと決意する。
次のような描写がいい。


 本はたくさん読みましたね。
 こういう時でもないと、『ローマ人の物語』(塩野七生著 全15巻)は
 読めないだろうからと思って読みました。
 他に差し入れがありましたので、大好きな推理小説のほか、
 日本の歴史書とか児童書などを次々に読んで、163日の間に150冊読んだんです。


 あとはラジオで高校野球や大相撲をやっていましたから、
 気が向くと聞いていました。
 阪神戦だけですが夜になるとナイターのラジオ放送があったので、
 選手名鑑を送ってもらって、顔写真を見ながら聞いていたり。
 中にいる間にすっかり阪神ファンになってしまいました。
 お気に入りは能見篤史投手です。       
                      (『文藝春秋』10月号109頁より)

 
ね、いいでしょ。
能見は村木さんがファンであること知らないだろうなあ。
163日で150冊!
いくら頭脳明晰だろうが凄い体力、精神力だと思う。
で、朝に聞いた大竹まことの口上を思い出す。


  『およそ半年に渡る拘置期間中、面会に来てくれた人70人、届いた手紙500通。
   麦飯ダイエットの効果で体重6キロマイナス。
   ストレッチと室内体操のおかげで腕の筋力アップ。
   歩き回れなかったので足の筋力ダウン。
   差し入れてもらったものを中心に読んだ本、ジャスト150冊。
   検察との戦いはまだまだ続きます。
   さあ、みなさんはどう思われますか? 』


手記を読む限りでは、僕は真っ当な感覚を持った不屈の人、村木さんのファンになってしまった。


関係ない話だが、地方国立大出身という共通点の他にもある。
厚子は妹と同じ名前、字も同じ。
同じく取り調べを受けた村木さんの上司が塩田さんなのだ。


この文藝春秋の記事、取材・構成は江川紹子さん。
数年前、眼鏡堂さんらと赤坂の焼き鳥屋に行った時に偶然お会いし挨拶した。
お酒に強いのか弱いのかわからないが、その時は…ほとんど眠られていました。
 

裁判の中身についてはこの人のブログで確認下さい。
http://www.ytv.co.jp/commentator/harukawa/2010/09/post-497.html
大阪地検がこのような捜査に出た理由が一部で言われているように
小沢問題で動く東京地検との手柄争いだとしたら…許せない。
ただでさえ無実の人を拘束して保釈金をとって裁判で負けて、
いまのところ検察は何のペナルティも課されていない。
マスメディアも特捜が動けばクロに違いないという姿勢で報道するのは自重して欲しい。


同じ『文藝春秋』に塩野七生の連載「日本人へ」が載っている。
表題は「なぜ人々は、マスコミから離れるのか」
日本だけでなくイタリアでも同じ現象が起こっているという。
テーマの取り上げ方が卑しく下品に変わったからである。と喝破する。
スポンサーがつかずテレビ番組は低俗化するばかりだが経営は苦しいのだとか。


巻末の坪内祐三コラム「人声天語」も興味深い。
表題は「実は今は旧作日本映画を見る“黄金時代”だ」である。
これについては明日書きます。


夜になってもまだ暑いぞ。 
湿気が戻ってきたぞ。
エアコン再起動す。