神代の昔、日向の国に蛭子(えびす)が生まれた。
三歳になっても足が立たず、蛭子は海に流し捨てられた。
漂着したのがここ西宮の浜だった。
蛭子はこの地で神として祭られ、その社が西宮神社となった。
今、その浜と二つの人工島に囲まれた入江には子供たちの乗ったカラフルなカヌーが浮かんでいる。
ちなみに東京の恵比寿はヱビスビールの工場があったことが由来だそうです。
渋谷区恵比寿には戎神社はないのだそう。
…6月が始まった。
6月1日は旧暦で言えば卯月の12日、まだ卯月なのだ。
皐月が梅雨、梅雨が明けると水無月になる。
卯月だからというわけでもないが今朝はうどんを食べた。
頂き物の讃岐うどん、腰の強いとこをざるうどんにする。
うどんの刺身であります。
…毎月、いや毎週のように有名人の訃報を目にする。
先日は映画監督の新藤兼人、今日は尾崎紀世彦だ。
肝臓ガンによる肝不全、享年69。
僕らが中学生のときに『また逢う日まで』が大ヒット。
♪ふたりでドアをしーめーてー ふたりで名前けーしーてー
バタ臭く濃い風貌とゴージャスなシャウトは価値破壊的な衝撃だった。
2曲目の『さよならをもう一度』もいい曲だった。
どちらも阿久悠だが、『また逢う日まで』が筒美京平、『さよならを…』は川口真だった。
♪いつか逢える きっと逢える さよならは愛の言葉さ
僕が一番好きな歌は尾崎の勢いに翳りが出てきた頃の曲、『ふたりは若かった』だ。
発表された1972年3月は僕が中学を卒業して高校へ入学する間の春休みだった。
その春休みに別の高校へ進学する仲のいい友達と東三河の鳳来寺山へ登った。
ふたりで湯谷川ぞいを歩きながらこの歌を口ずさんだ記憶がある。
中学3年は僕にとって黄金時代だった。
友達やクラスメートとも離ればなれになる。
楽しかった時代への惜別の思いと、どこか甘く懐かしい曲調がフィットしたのだろう。
♪ ふたりは若かった あまりに若かった それがすべてさ
15歳の春、人生はまだまだこれからだった。
『ふたりは若かった』は筒美京平の曲。
筒美が『さよならをもう一度』を作曲した川口真っぽく書いてみましたと筒見が書いた、ような気がする。
筒美京平にスタイルはない。
求められればどんな曲も一級品を書いてしまう。
ちなみに川口真は「五月のバラ」や中尾ミエの「片思い」、由紀さおりの「手紙」を作った人。
僕の勝手なイメージでは「爪」の平岡精二とどこか被る都会派のコンポーザー。
亡くなった尾崎紀世彦も「五月のバラ」を歌っている。
♪五月 この僕が 帰る まばゆい五月
尾崎紀世彦は美しき五月の最終日に天に召された。
新藤兼人 享年100。
乙羽信子の夫であり映画監督であるこの高名な人を実はよく知らない。
もちろんシンドウカネトの名前は知っており、主要作品の題名も頭に入っているが白状すれば見たことがない。
大往生され、元NHKのこの方のブログを読み、この機会にいくつかの映画を見ようと思った。
http://nagata-kozo.com/?p=8632
新藤監督は、最初から最後まで、独立プロにおいて、映画を撮り続けた。
ほんとうにすごいことだ。それにしても戦後すぐから、半世紀にわたるラインナップは、驚くべきものだ。
大正元年生まれ、映画の黄金時代にも一貫して独立プロとは凄い。
東宝、松竹、東映、大映と大資本とは一線を画した監督人生。
それだけの理由があったのだろうと察する。
新藤作品のなかで、大好きなのは、殿山泰司をモデルにした『三文役者』だ。
新藤さんというと、反戦・反核の社会派というイメージが強く、これほど一貫して、社会問題を描き続けた監督も稀有だが、
その一方で、おちゃめな映画もたくさん撮っている。
泰ちゃんの役は、芸達者な竹中直人、パートナーは、荻野目慶子が実に愛らしく演じた。
安いアパートで、荻野目慶子が華奢なヌードで、盆踊りのように踊るシーンは、
荻野目さんがいろいろご苦労されたこともあって、その明るさと哀しさに、胸が熱くなる。
それにしても、99歳の時に撮った『一枚のハガキ』が、新藤さんの最後の作品となるとは、なんとすごい人生だろうか。
この執念の最終作を、大竹しのぶさんが、演じきったこともよかった。
『一枚のハガキ』のクランクアップのとき、新藤さんは、無人になったスタジオで、ひとりただただ泣き続けたという。
自分の映画人生をとん挫させ、100人の仲間のうち、94人が還らぬひととなり、自分はなぜ生き残ったのだろうという悔恨にさいなまれる・・・
そんな新藤さんの、人生最大のこだわりを、最後の映画にし、しかもヒットさせた。なんという見事な人生だろう。
新藤さんの最期のメッセージは、
「フクシマで大変なことが起きていますが、若い人たちは、もっと自分のこととして考えなくてはならない。
そして、なんらかの形で、もっと行動しなければいけない。」だった。
新藤兼人さんの人生は、いつも人間を圧殺する巨大な暴力と闘い、それを映画という表現手法で伝えることに、挑戦しつづけた1世紀だった。
まだ僕は何も語れない。
『三文役者』『一枚のハガキ』、そして『裸の島』をTSUTAYAディスカスの予約ボックスに入れた。
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…今日は久しぶりにシューズを買った。
梅田のモンベルでトレールランナーというタイプの靴。
山道をランニング出来るというもの。
普段履きだけどいざとなれば山歩きも山走りも可能、らしい。
インディアンカレーでスパゲッティを食べる。
脂身たっぷりのビーフは残した。